当院の膵がん治療の特徴
膵がんについて
国内外において、膵がんと診断を受ける患者さんは年々増加してきています。しかしながら、膵がんの治療成績は消化器がんの中でも最も悪く、治療を受けてから5年後もお元気でいられる患者さんはいまだに10%前後と言われています。ただし、最近では膵がんの診断能、手術技術や周術期管理の進歩、手術前や手術後に使用する効果的な抗がん剤の普及もあり、最も治療成績が改善している病気の一つでもあると言えます。
現在、膵がんと診断された患者さんは病気の進行度により三つのグループ(切除可能、切除可能境界、切除不能)に分類され、治療が始まります。切除可能と診断される患者さんはおおよそ20%前後であり、外科的切除を予定します。切除可能境界とは技術的には切除が可能と考えられますが、一部にがん細胞が残ってしまう可能性のある患者さんです。このような患者さんに対しては、抗がん剤治療を約2ヶ月行った後に切除を予定します。切除不能の膵がんとは、周囲にある主要な血管への浸潤程度が強かったり、肝臓や腹膜などの遠隔臓器への転移が認められたりする患者さんです。この場合、抗がん剤治療や放射線治療を長期間行い、がんが小さくなって手術が可能となることを期待します。
切除が難しい膵がんの手術
当院は日本肝胆膵外科学会の高度技能専門医修練施設であり、高度技能指導医・高度技能専門医によるチーム医療を行なっています。一般的に切除が難しいと言われる門脈や動脈への浸潤を伴う膵がんに対しても、当院の中尾昭公院長(名古屋大学名誉教授)が開発したMesenteric approach及びアンスロンカテーテルバイパス法を用いて切除を行っています。
また、現在では国内の他医療機関とも密接な連携をとり、共同臨床研究も並行して進めております。当院は、膵がん治療に対してスタッフ全員でより良い医療が提供できるように全力で取り組んでいます。また、セカンドオピニオン外来も積極的に行なっております。膵がんと診断を受けられ、治療方針について迷われている患者さん、手術が困難とお話を受けた患者さんは、どんなご相談でも構いませんので当院までお越しください。