前立腺肥大症のレーザー手術(PVP)の実績は約2,500件
前立腺肥大症とは
前立腺という臓器は、精液の一部を産生する男性のみにある臓器です。その大きさは通常クルミほどの大きさで、膀胱から尿を排出する尿道の周囲に存在しています。
この前立腺が加齢に伴い大きくなった状態を「前立腺肥大症」と呼び、尿道を圧迫したり、膀胱に刺激を加えたりすることで尿が出にくくなり、夜中に何度もトイレに起きるという症状が出現します。
前立腺肥大症の治療には大きく分けて内服療法と手術療法があります。診断当初は内服を開始して通院することが多いのですが、内服薬は症状を和らげることが主な役目であり、肥大した前立腺を元の状態に戻して治すというものではありません。以前のような、または、それに近い排尿状態に戻すためには内視鏡手術が必要となります。
前立腺肥大症の治療
内視鏡手術には電気メスで前立腺を切除する方法(TURP)とレーザーを用いる方法があります。TURPは最も歴史のある手術法で、高い治療効果が得られますが、時として輸血を要するほどの出血があるため、高齢者や抗凝固剤を服用中の方には適さないと言われています。また尿道カテーテルを留置する期間が長いため1週間以上の入院期間が必要です。これらの欠点を補うために緑色光レーザーで前立腺を溶かすように広げる前立腺レーザー蒸散術「PVP」が2001年より米国で開始され、日本でも2005年より当院でPVPを開始しました。
前立腺レーザー蒸散術 「PVP」
PVPはTURPとは異なりほとんど出血せずに前立腺を蒸散することが可能なため、抗凝固剤を服用中の方でも内服を中止することなく手術を受けることが可能です。また、術後の患部の腫れが少ないため、手術翌日からの排尿が可能で痛みもほとんどありません。PVP手術に伴う入院中の生活や経過がイメージできる「入院診療計画書」については下記をご確認ください。
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特徴Ⅰ手術後の痛みがほとんどありません手術中はもちろんのこと、手術後も排尿時の痛みがほとんどありません。
手術直後から良好な排尿となります。 -
特徴Ⅱ手術後の尿道のカテーテルは翌日まで手術後の出血や腫れが少ないため、基本的には手術翌日に尿道のカテーテルを抜くことができます。
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特徴Ⅲ短期間の入院ですみます今までの手術法では手術後の出血や尿道カテーテルを数日間留置する必要性から、入院期間が手術後最低1週間は必要でした。PVPでは手術翌日に尿道カテーテルを抜くので、入院期間は一般的には3~4日間となります。
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特徴Ⅳ身体への負担の少ない手術です従来の手術と比較して手術中の出血が少なく、身体への負担が非常に少ない手術です。また手術後に生じる尿失禁や尿道の狭窄の心配はほとんどなく、逆行性射精(射精液が膀胱側に排出される合併症)の生じる割合も少ないのが特徴です。
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特徴Ⅴ術中の様子を専用モニターでご覧頂けます術中は専用モニターで手術の様子(前立腺が蒸散され、尿道が拡大してゆく様子)を、医師の解説のもと、ご自身でご覧頂くことも可能です。
下半身麻酔を選択の場合
圧迫された尿道
レーザーによる蒸散
PVP後の尿道
PVPの手術動画(一部)
PVPの利点
PVPは、患者さんの身体への負担が非常に少ない理想的な前立腺肥大症手術です。PVPがTURPと比べてより安全な手術であり、効果はTURPと同等であることは海外の多くの研究で示されています。
私たちはPVPをおすすめします
当院では2005年に日本で最初にPVPを開始し、これまでに約2,500名の方々にPVPを行い(※1)、術後10年までの良好な成績が2016年のJournal of Endourology誌に掲載されました(※2)。また当院では、従来より大幅な手術時間の短縮が可能となるPVPレーザー機種(GreenLight XPS 180W)を2019年2月に日本初導入しました。PVP手術の前に、患者さんに確認いただく当院の「同意書」については、下記をご確認ください(実際に手術を受ける際には、医師から同意書に沿って説明を行います)。
1…2023年6月現在
2…Photoselective Vaporization of the Prostate:Long Term Outcomes and Safety During 10 Years of Follow-up. J.Endourology Vol.30 No.12 1306-1311