診療科案内

金マーカーを用いた前立腺がんの根治的治療

当院は、前立腺がんに対する根治的治療として、前立腺内に｢金｣のマーカー（目印）を挿入したうえで、高精度放射線治療装置（Versa HD）を用いて病気の形に合わせた照射法（3次元ピンポイント照射）での治療を行なっています。

泌尿器科の診察

前立腺がんの診断を受けたのちに、当院泌尿器科で放射線治療の適応であるかの判断を受けてください。

金マーカー留置1泊入院

金マーカー留置には1泊入院が必要となります。
また、事前に外来受診（術前検査、麻酔科受診、治療・入院説明のため）が1日必要です。

放射線科治療医の診察後治療開始

金マーカー留置後に放射線科治療医の診察を受けます。照射範囲、照射量の決定後に放射線治療が開始となります。通常、放射線治療は金マーカー留置から1ヶ月以上後からの開始となります。照射総量は74～78グレイ(Gy)で、1回あたり2グレイの照射を毎日（土日祝を除く）行います。

Versa HDは、治療計画で作成された画像と毎回の治療時に行うX線撮影の画像を自動解析することにより、正確かつ短時間での治療が可能となった先端放射線治療装置です。

なぜ金マーカーを挿入する必要があるのですか？: 前立腺は直腸の動きなどの影響を受けて動く臓器であり、毎回の治療ごとに金マーカーを放射線治療装置に付属した位置照合システムが探知することで、治療時の正確な前立腺の位置を短時間で把握することが可能となるためです。これによって周辺臓器(直腸や膀胱)への影響を最小限としつつ、前立腺へ最大限の放射線照射が可能となるわけです。

金マーカーを挿入する際には痛みや合併症はありませんか？: 腰椎麻酔あるいは全身麻酔で行いますので痛みはまったくありません。陰嚢と肛門の間の会陰という場所から、細い針を２ヶ所ほど刺して金マーカーを留置します。前立腺生検に比べても小さな侵襲で、これまでに合併症を生じた例はありません。翌日には入浴も可能です。

どのような人が治療に適していますか？

原則的には前立腺がんが前立腺の中に留まっている人が適応となります。
具体的には、

の患者さんがよい適応となります。
骨などへの遠隔転移を有する患者さんには適応とはなりません。
適応の可否についての詳細は当院尿器科にご相談ください。

金マーカーを留置せずに放射線治療を受けることは可能ですか？: 当院ではより精細に、安全に放射線治療を行うために金マーカー留置を必ず施行させていただいております。