心臓カテーテルアブレーション治療(経皮的心筋焼灼術)
当院循環器内科では、各種頻脈性不整脈に対して心臓カテーテルアブレーション治療(以下、アブレーション)を実施し、日本不整脈心電学会不整脈専門医研修施設の認定を受けています。2025年4月からは学会認定不整脈専門医(後藤裕美主任医長)、設備、治療件数などの要件を満たし、発作性心房細動に対して、パルスフィールドアブレーション(以下、PFA)を実施しています。(また、2020年8月には新しい心臓血管専用造影装置を導入し、これまでより広い視野がみえるようになり安全に、かつ少ない被ばく線量での治療に努めています。)
頻脈性不整脈とは
頻脈性不整脈の症状は動悸症状が多いですが、何も症状がない場合もあります。一般に行われている心電図の検査で不整脈かどうかを判断します。心電図は心臓の筋肉に伝わる電気の流れを体の表面から記録しています。通常心臓の電気刺激は心臓の一番上の洞結節という場所から発生し、左右の心房全体に伝わり4つの部屋の真ん中の房室結節というところから下の部屋の左右の心室に伝わります。
このように電気信号が正常に流れないものがすべて不整脈となり、通常よりも脈が速くなるものを頻脈性不整脈といいます。頻脈性不整脈の中には脈がとぶ期外収縮や脈が規則正しく早くなる発作性上室性頻拍・心室頻拍、脈がばらばらとなる心房細動、命に危険を及ぼす心室細動などたくさんの種類がありそれらすべてを不整脈といいます。頻脈性不整脈の中でも現在もっとも多いものが心房細動です。心房細動の患者数は100万人を超すともいわれています。
心房細動とは心房がおおよそ1分間に400~600回も不規則に動いています。まるで「心房が震えている」ように見えます。その結果心房の中で血液の淀みができ血の塊を作りやすくし、それが心臓から出ていくと脳の血管につまる脳梗塞の危険性が高くなります。
心房細動に対する治療法は、以前は薬による治療が一般的でしたが、アブレーションでの治療も増加しています。
心臓カテーテルアブレーション治療
心臓カテーテルアブレーション治療とは、治療用のカテーテルを太ももの付け根から血管を通じて心臓に挿入し、カテーテル先端から高周波電流を流して焼灼(焼いて治療すること)することで不整脈を治療します。
例えば、心房細動という不整脈の場合、左心房にある肺静脈の血管内やその周囲から発生する異常な電気信号がきっかけとなって起こることが多いため、通常4本の肺静脈を囲むようにして治療を行い、肺静脈からの異常電気信号が心臓全体に伝わらないようにします。近年、心房細動に対する新しいアブレーション治療法としてリングや花の形などをしたカテーテルを肺静脈の周囲にあて、カテーテルから高電場を発生し心筋のみを障害するパルスフィールドアブレーションが行われるようになりました。
従来のカテーテルアブレーションは高周波通電や冷凍凝固バルーンを用いて熱により心筋を焼灼する方法でした。熱により心筋周囲組織(食道や横隔神経)に障害を与えることがあり、障害が及びそうになるのを確認した場合はその箇所は治療をしないようにしていました。パルスフィールドアブレーションは短時間の周期(パルス)で高電場(パルスフィールド)を発生させることで細胞膜に小さな穴をあけることにより細胞死を誘導する方法で熱は発生しません。組織によって障害される電場の強さが違うため心筋以外の組織に影響を与えることなく、心筋特異的に焼灼をすることが可能になりました。
パルスフィールドアブレーションは、食道穿孔や横隔神経麻痺などの重篤な合併症が少なくなるため安全性は高くなり、手技時間も短くなっています。



受診から退院までの流れ

- アブレーションが必要かどうか、行うかどうかの相談をします
- アブレーションの日程を相談し決定します
- 外来で受診当日または後日に予約して検査(採血、胸部レントゲン、心電図、心臓超音波検査、心臓のCT検査など)を行います
- 基本は手術日当日の入院で入院後準備をして昼頃からアブレーションを行います
- 手術時間は3時間前後ですが不整脈の種類や症例によって長くなることもあります
- 局所麻酔または全身麻酔で行います。心房細動のアブレーションは基本全身麻酔で、手術中は意識がない状態でおこないます。その場合手術中の痛みなどは感じません。
- 手術後3時間程度ベッド上で安静になります

- 手術翌日は病室で自由にしていただき心電図モニターで脈の様子を観察します
- 基本は2泊3日入院ですが状態によって長くなることもあります
後藤裕美主任医長からのメッセージ
当院は常に安全第一で丁寧な治療を心がけています。当院は大きい病院ではありませんが、そのために融通が利きやすいというメリットがあると思っています。手術を受ける患者様は仕事をしている方や忙しい方も多く、なるべく日程や治療法などご希望にこたえられるよう努力しています。医師、看護師、技師などチーム一丸となって治療にあたらせていただきます。
