地域医療連携

病診連携勉強会

大腸腫瘍について~内視鏡を中心に~

【テーマ】
大腸腫瘍について~内視鏡を中心に~
【講演者】
消化器内科 医長 吉村 透

当院での下部消化管内視鏡検査について

内視鏡検査・治療

当院では大腸の検査として下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)を積極的に行っており、病診連携で御紹介頂く患者様も多く、年々内視鏡検査は増加し前年度は上下部合わせて約7000件となりました。これも日頃より病診連携の先生方のお世話になっているお陰と思います。
当院では患者様の苦痛を軽減するよう内視鏡検査時(胃カメラ、大腸カメラ共に)鎮静剤を使用しています。また、大腸カメラ時はCO2送気を使用しておりガスの排出が早いため検査後の腹部膨満感を軽減できています。

内視鏡診断・治療

大腸癌 内視鏡治療

ガイドラインに沿って内視鏡治療を行っており、腺腫、癌は治療を行い、過形成性ポリープ、炎症性ポリープは基本的に経過観察としています。治療に関して大きさが目安になり、担癌率が4mm以下では0.5%、5~9mmで3.3%、10mm以上は28.2%という報告があり、当院では5mm以上、特に10mmを超える病変では積極的に内視鏡摘除しています。
摘除した病変はすべて病理診断を行っています。癌であっても粘膜内癌や粘膜下層への軽度浸潤癌で脈管侵襲がなければガイドライン上も治癒切除となります。
粘膜下層への深部浸潤(SM1000μm以上)では12.5%リンパ節転移があると報告があり、ガイドライン上は手術を考慮した方がよいとされております。特に深部浸潤が疑わしい症例では、NBI、拡大内視鏡検査を用いた詳細な内視鏡所見から深達度診断を行い、治療方針の参考にしています。
大腸ではLST(laterally spreading tumor)という側方に発育する病変があります。この病変は粘膜を這うように成長し大きさの割に深部浸潤を来たしにくい傾向があり、大きくても内視鏡治療が可能なものを経験します。以前は手術を行っていた様な大きな病変でも内視鏡治療が出来るようなものもありますので、迷う症例があれば当科に御紹介頂ければ幸いです。
今後とも御支援のほど宜しくお願い申し上げます。