地域医療連携

病診連携勉強会

当院の消化器外科診療について

【テーマ】
当院の消化器外科診療について
【講演者】
消化器外科 主任医長(科長) 大島 健司

1. 手術実績 ~最近5年間の実績を振り返って~

膵癌切除例の予後(2011年4月~2015年6月)

消化器外科医の業務の中心は何と言っても手術である。今回、中尾昭公院長が着任されて5年の節目を迎えるのを機に、最近5年間の手術実績を振り返ってみた。
手術の総件数は5年前には年間200件程度であったが、ここ2年間は約330件と増加していた。増加した件数のほとんどが全身麻酔の症例であった。
当科の特徴である膵臓手術は徐々に増加傾向で、年間40件を超えるまでとなった。膵癌手術では門脈合併切除も積極的に行っており、特に膵頭十二指腸切除術症例では約6割の症例で門脈合併切除が行われていた。2011年4月~2015年6月に切除された膵癌症例96例における術後生存期間の中央値は21.0か月であったが、stage IVの症例が約6割を占めていることを鑑みるとまずまずの成績と考えられる。今後さらなる成績向上をめざしたい。
胃切除術は徐々に増加傾向にあったが、昨年は一昨年の半数ほどに減少していた。減少に転じた要因は不明である。
結腸・直腸切除術は増加傾向で、腹腔鏡下手術症例も増加していた。
当科における胃癌、結腸・直腸癌に対する腹腔鏡下手術の適応は、原則としてStage Iの症例としている。
肝切除術の件数はさほど多くはないが、昨年は一昨年に比べ倍増していた。今後、肝転移症例に対する肝切除術が増加するものと考えている。
そのほかの手術件数は特に増減の傾向を認めなかったが、虫垂切除術、鼡径ヘルニア根治術においては腹腔鏡下手術の割合が増加傾向にあった。

2. 鼡径ヘルニア根治術 ~鼡径法と腹腔鏡下手術の比較~

腹腔鏡下鼡径ヘルニア根治術

鼡径ヘルニア根治術について、鼡径法と腹腔鏡下手術それぞれのメリット、デメリットを示し、腹腔鏡下ヘルニア根治術の実際をビデオで供覧した。

3. 消化器外科で行う化学療法

消化器外科では、術後補助化学療法のみならず、進行・再発癌に対する化学療法も行っている。昨年より化学療法の件数が急増しており、そのほとんどを外来通院にて施行している。

4. 今後の病診連携に向けて

連携診療パスの作成・活用等にて、術後なるべく早い時期から連携医各位と共同で診療にあたれるような態勢づくりに取り組みたいと考えている。