B型C型慢性肝炎の診断と治療
慢性C型肝炎の治療
慢性C型肝炎の治療の目的は、慢性肝炎の沈静化(ALTの正常化)と、その後の肝硬変への移行・肝細胞癌発症の阻止です。抗ウイルス療法と肝庇護療法に分類されています。これまでは慢性C型肝炎に対してインターフェロンを中心とした治療が行われてきましたが、特に難治性とされる1型高ウイルスでは治療抵抗であることが多く、また強い副作用から、高齢の患者様に対して治療が困難であることが問題でした。直接作用型抗ウイルス薬(DAAs)の登場で、1型高ウイルス例に対しても良好な治療成績が期待できるようになってきました。
2014年に本邦で認可されたアスナプレビル、ダクラタスビルの2剤併用療法はインターフェロンを使用しない、経口内服薬2剤のみでの治療が可能であり、これまで抗ウイルス治療が困難であった高齢者、うつ病の患者様、また高度の血球減少を伴う患者様などに対しても治療が可能になっております。耐性の出現など、注意しなければいけない点もありますが、慢性C型肝炎の治療は今後、急速な進歩が期待されています。
慢性B型肝炎の治療
かつてはB型肝炎感染後は、セロコンバージョン(HBe抗原が陰性化してHBe抗体が陽性化)すれば、B型肝炎は治癒したと考えられており、治療の目標はセロコンバージョンとALT値の持続正常化でした。現在では、セロコンバージョン後も肝硬変や肝癌への進展症例も報告されており、セロコンバージョンのみでなく、HBV―DNA量の抑制とHBs抗原の陰性化が治療目標となってきています。
これまで経口ウイルス薬による治療の中心はエンテカビルでしたが、2014年に発売されたテノホビルが注目されています。エンテカビルに比べて耐性出現率が低く、食後の内服が可能であり、また妊婦に対する安全性も高いため、挙児希望のある女性に対しても治療が可能になるなどの利点があります。
慢性肝炎患者の定期フォロー
血小板が少ないなど、肝繊維化の進んだ症例では高い肝細胞癌の発癌リスクを有しており、定期的な画像フォロー(腹部エコーを中心として、適宜造影CT,MRIを追加)が望ましいとされています。C型慢性肝炎のSVR後、B型慢性肝炎のHBs抗原消失後も発癌リスクがあるため、ウイルス性肝炎の治療既往のある患者様についても定期的な画像フォローの必要があると思われます。