地域医療連携

病診連携勉強会

大腸癌の外科治療と補助療法

【テーマ】
大腸癌の外科治療と補助療法
【講演者】
消化器外科 医長 大島 由記子

大腸癌の進行度

大腸癌の進行度分類

大腸癌の進行度はステージ(病期)によって表し、ステージ0からステージⅣまでの5段階に分類されています。進行度は腫瘍の深さ(深達度)、リンパ節転移の有無、遠隔転移の有無によって決まります。それぞれのステージの患者さんには、科学的根拠(エビデンス)に基づいて効果の高さが確かめられ広く行われている治療法である「標準治療」が推奨されます。

大腸癌の治療方針

cStage0 ~cStageⅣ大腸癌の治療方針

大腸癌の主な治療法には、内視鏡治療、外科手術、化学療法、放射線療法などがあります。これらを組み合わせ、どのように治療するのかは、患者さんの状態や、癌の進行度などによって決められます。大腸癌の治療の基本は外科手術であり、可能なかぎり切除することが基本的な治療方針です。大腸癌の手術にはいくつかの種類があり、病変の場所、程度によって術式をえらびます。Stage0-Ⅲまでの大腸癌のリンパ節郭清度は術前の臨床所見および術中所見によるリンパ節転移の有無と腫瘍の壁深達度から決定します。

大腸癌の腹腔鏡下手術

腹腔鏡下手術の特徴

大腸癌の手術には従来通りの開腹手術と腹腔鏡下手術があります。腹腔鏡下手術には様々な特徴がありますが、早期の結腸癌に対しては腹腔鏡下手術も従来の開腹手術と同等の治療効果が得られると考えられています。当院でも早期結腸癌に対しては積極的に腹腔鏡下手術を行っています。

術後補助化学療法

術後補助化学療法

術後補助化学療法は治癒切除が行われた症例に対して、再発を抑制し予後を改善する目的で、術後に実施される全身化学療法です。
適応となる症例としてはリンパ節転移が認められたStageⅢの患者さんが良い適応とされています。また最近の研究ではリンパ節転移のないStageⅡの患者さんで脈管侵襲、リンパ管侵襲など再発危険性が比較的高いと考えられる患者さんにも適切なインフォームドコンセントのもとに術後補助化学療法を行う場合があります。術後補助化学療法で使用する薬剤は経口、注射薬がありますが、どの治療方法であっても投与期間は6ヶ月を標準としています。最近では経口薬であるテガフール・ウラシル(UFT)とホリナート(LV)併用療法またはカペシタビンが使用されることが多くなっています。