地域医療連携

病診連携勉強会

当院の消化器内科診療について

【テーマ】
当院の消化器内科診療について
【講演者】
消化器内科 主任医長 安藤伸浩

当院の病院理念「安全で質が高く、快適でまごころのこもった患者本位の医療」に則り、消化器内科では診療を行っております。診療の実際を、とくに力を入れている内視鏡を中心に紹介します。
「快適」すなわち苦痛のない内視鏡検査には、1.細い(経鼻)内視鏡を用いるか、2.麻酔鎮静剤を用いて苦痛を軽減するか、のどちらかです。経鼻内視鏡には、会話が可能である、咽頭反射が少ないなどの利点がありますが、画質が劣るという大きな欠点があります。「質が高く、快適な」内視鏡のために、当院ではジアゼパム、ミダゾラムなどの鎮静剤を積極的に用いております。
鎮静剤では、呼吸抑制による死亡など重篤な偶発症が報告されています。「安全」に検査を行うために、検査前には、アレルギー歴や内服歴について十分な問診を行い、文書による説明と同意を得ています。検査時には、個々に応じて鎮静剤の投与量を調節し、血圧、脈拍、酸素飽和濃度を必ずモニタリングし、必要時には速やかに酸素投与をしております。また、検査後はリカバリールームで1時間安静にしていただき、当日車の運転を避けていただいております。

当院の消化器診療
安全で質が高く、快適な内視鏡
安全で快適な大腸内視鏡

大腸内視鏡検査は、前処置の下剤内服や検査時の苦痛の訴えが多い検査です。前処置薬として新しい腸管洗浄薬を用いて2Lの下剤を1.5Lに減量し、内服に苦痛を軽減しています。検査には、磁気コイル内蔵の内視鏡を使用し、リアルタイムで放射線被爆なしで挿入状態を確認しています。硬度可変(内部コイルが伸縮し、スコープの硬さが変化)内視鏡により、腸管の屈曲に合わせて硬さを変えて挿入し、検査時の苦痛を和らげています。また、検査時の送気には、空気の100倍以上早く生体吸収される炭酸ガスを用い、腹部膨満感がすみやかに消失します。検査前の下剤内服から検査後の安静も病院まで行い、安全な検査に努めています。

消化器内科では当院のビジョンである「先進的専門的医療」の提供をしております。通常内視鏡では高画質・高精細なHi-Vision内視鏡を用い、青緑色光で粘膜の血管を鮮明に表示するNBIや100倍の高解像度画像を得る拡大により、早期癌の発見・診断を行っております。
カプセル内視鏡やダブルバルーン内視鏡により、全小腸を観察し、小腸疾患の診断・治療を行っております。今後、大腸のカプセル内視鏡も導入予定です。
治療では、以前から早期食道癌・胃癌ではESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)により、大きな癌を一括切除しております。電圧電流を自動制御する高周波装置やヒアルロン局注液、送水機能付きスコープ、止血鉗子を使用し、合併症もほとんどみられません。

内視鏡件数

当院の内視鏡件数は、年々増加し、平成25年度は上部3269、大腸1782件に達しております。今後も地域の医療機関と連携をはかりながら、

安全で質が高く、快適でまごころのこもった患者本位の医療の提供に努めますので、何卒よろしくお願い申し上げます。