地域医療連携

病診連携勉強会

紛らわしい画像所見を呈する脊椎疾患とその鑑別

【テーマ】
紛らわしい画像所見を呈する脊椎疾患とその鑑別
【講演者】
整形外科 主任医長 簗瀬誠

脊椎領域の診断においてMRIは重要で欠かせない検査となっている。
代表的疾患におけるMRI画像の特徴について説明した。
化膿性あるいは結核性脊椎炎は、椎間板とそれを挟んだ頭側尾側の椎体の信号変化が特徴となる。一方 転移性脊椎腫瘍や骨粗鬆症性骨折では椎間板の信号変化は生じない。
変性所見が加わり紛らわしい症例をしばしば経験するが、T2脂肪抑制画像を追加し、
経過を追って評価することなどで鑑別できる場合もある。

1) 骨粗鬆症性骨折

椎体の信号変化が生じる(椎間板の信号変化は生じない)
T1W:椎体の一部~ほぼ全体に不均一な低信号域
T2W:高信号呈する、脂肪抑制すると確認しやすい
Black Lineを認める(転移性脊椎腫瘍との鑑別)
経過とともに正常信号化する(T1Wで観察 転移性脊椎腫瘍との鑑別)
偽関節化すると  T1W 低信号、T2W高信号の椎体内液体貯留像

2) 転移性脊椎腫瘍

椎体の信号変化が生じる(椎間板の信号変化は生じない)
T1W:骨髄内の低信号病変
T2W:低信号~高信号まで様々、造骨性では低信号
脂肪抑制併用で病変が指摘しやすくなる 
Gd造影:様々、一般的に不均一に増強
自然に正常信号化することはない
椎体後壁が背側凸な円弧状を呈した場合は腫瘍を強く疑う

3) 感染性脊椎椎間板炎

椎間板を挟んだ上下の椎体に信号変化が生じる
T1W低信号、T2W高信号
T2W高信号を伴う狭小化した椎間板
傍脊柱腫瘤、硬膜外膿瘍、腸腰筋膿瘍などを伴う