手術支援ロボット「hinotoriサージカルロボットシステム」
これまでのロボット支援下手術はインテュイティブサージカル社のダビンチサージカルシステム(Da Vinci)が主流でしたが、2021年には川崎重工業とシスメックスの合弁会社メディカロイドが開発した国産初のhinotoriが運用可能となり、泌尿器科領域から導入が始まっています。当院では2021年12月に泌尿器科において導入され、前立腺癌の術式として定着しています。2022年10月には消化器外科領域でも保険収載がなされたため、2023年12月から消化器外科でも導入され、膵体尾部切除術に使用しています。
hinotoriの特徴
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特徴Ⅰ小さな創
内視鏡やアームの挿入口は直径1cmほどと非常に小さく、摘出した前立腺を取り出すための創(切りキズ)も最小限の大きさで済むため手術後の疼痛が少ないです。
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特徴Ⅱ繊細な手術
アーム先端の鉗子は人の手よりも大きな可動域があり、手振れもないため非常に繊細で精緻な手術を安全に行うことができます。
「hinotori」の4本のアームはそれぞれ8つの関節を有しており、従来の手術用ロボットよりも多く、より人の腕に近い設計となっており滑らかな動きが可能です。 -
特徴Ⅲ少ない出血
繊細な手術が可能なため、細かい血管も安全に処理することが可能です。また手術中の視野を確保する目的で腹腔内に炭酸ガスを注入するため、その圧力によっても手術中の出血が低く抑えられます。
手術者は、内視鏡と3本の鉗子の4つのアームをサージョンコンソールと呼ばれるコックピットから操作し、肉眼では視認できない細部(10-15倍)をフルハイビジョンで見ながら手術を行います。助手は患者近傍に設置した「ビジョンユニット」に映写された3D画像を見ながら術者操作の補助を行います。
「hinotori」によるロボット支援下根治的前立腺全摘出術(RARP)
「hinotori」による前立腺がん摘出手術に関心のある方は下記の「ロボット支援前立腺全摘術同意書」をご参照ください。
「hinotori」によるロボット支援下膵体尾部切除術(RDP)
膵・胆道疾患センターでは「hinotori-DPチーム」を院内で立ち上げ、1年間かけて入念な準備を行い、2023年12月11日に第1例目の膵体尾部切除術を実施致しました。これは国内で3施設目、大学病院を除く一般病院では初めてであり、今後、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、粘液性嚢胞腫瘍(MCN)、神経内分泌腫瘍(PNEN)、充実性偽乳頭状腫瘍(SPN)などの低悪性度腫瘍、さらには切除可能膵癌に対して適応を拡大していく予定です。hinotoriを導入した先進的な外科手術により、膵疾患と診断された患者様に対して精緻かつ安全な治療を提供して参ります。