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ライソゾーム病外来について
ライソゾーム病外来ライソゾーム病ゴーシェ病ファブリー病糖原病U型/ポンペ病遺伝形式

ライソゾーム病外来
 当院血液内科では、特殊専門外来として、水曜日の午前に『ライソゾーム病外来』を開いています。ライソゾーム病(リソソーム蓄積症)は、細胞内の小器官であるリソソーム(lysosome; ライソゾーム)内の様々な酵素の欠損または活性の低下により発症する一連の先天性代謝異常疾患です。欠損している酵素の種類により約30疾患が知られ、代表的な疾患としてゴーシェ病ファブリー病糖原病U型/ポンペ病、ムコ多糖症などが含まれています。当科では、ゴーシェ病ファブリー病に対する酵素補充療法を多数手掛けており、国内有数の経験があります。また、2007年6月には糖原病U型/ポンペ病に対する酵素補充療法の治療薬が承認、認可され、同月から治療を行っています。
 現在、海外から定期的に受診される方もみえ、国内はもとよりアジアにおける拠点病院の一つに数えられています。ライソゾーム病に関しては厚生労働省難治性疾患克服研究事業『ライソゾーム病(ファブリー病を含む)に関する調査研究班』および同研究事業『特定疾患の疫学に関する研究班』に参加しています。

毎水曜日 9:00から12:00
担当医 血液内科 主任医長
坪井 一哉
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ライソゾーム病
ライソゾーム病の概念と病型分類

 ライソゾーム病(リソソーム蓄積症)は、細胞内の小器官であるリソソーム(ライソゾーム)の中に存在する様々な加水分解酵素の欠損または活性の低下により代謝が障害され、そのために発症する一連の先天性代謝異常疾患です。
 細胞内リソソーム(ライソゾーム)には数多くの糖質、脂質、ムコ多糖などを分解する加水分解酵素が存在し、欠損している酵素の種類により約30疾患が知られ、代表的な疾患としてゴーシェ病ファブリー病糖原病U型/ポンペ病、ムコ多糖症などが含まれます。

ゴーシェ病

 ゴーシェ病は、細胞内リソソーム(ライソゾーム)の加水分解酵素の一つであるβ-グルコセレブロシダーゼの遺伝的欠損、活性低下によりグルコセレブロシドが体内に蓄積され、肝脾腫、けいれん、貧血、血小板減少などが認められる疾患です。遺伝形式は常染色体劣性遺伝です。

ファブリー病

 ファブリー病は、細胞内リソソーム(ライソゾーム)の加水分解酵素の一つであるα-ガラクトシダーゼの遺伝的欠損、活性低下により、全身の血管壁、血管内皮系細胞、一部の神経系など多くの組織や体液中にグロボトリアオシルセラミドなどの糖脂質が蓄積し、疼痛を含む神経症状、被角血管腫、角膜混濁などのほか、心血管障害、腎機能障害などが認められる疾患です。遺伝形式は伴性劣性遺伝です。

糖原病U型/ポンペ病


 糖原病U型/ポンペ病は、細胞内リソソーム(ライソゾーム)の加水分解酵素の一つである酸性α-グルコシダーゼ活性の欠損または低下のため、筋細胞内にグリコーゲンが蓄積し、筋力低下、心肥大、呼吸不全などが認められる疾患です。遺伝形式は常染色体劣性遺伝です。

以上のように、ライソゾーム病は欠損酵素により様々な病態が認められています。
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ゴーシェ病

【1】病態

 ゴーシェ病(Gaucher disease)は、細胞内リソソーム(ライソゾーム)において加水分解酵素であるβ-グルコセレブロシダーゼ活性が正常値より不足あるいは欠損しているため、この酵素で本来分解されるべき糖脂質のグルコセレブロシドが肝臓、脾臓、骨髄(マクロファージ)などに蓄積する先天性代謝異常疾患です。
 そのため、肝臓、脾臓などの臓器の腫大や、骨髄では、造血能の低下やゴーシェ細胞(Gaucher cell)の増加が認められます。また、脾腫に伴い、赤血球や血小板の破壊が亢進し、貧血や血小板減少症などが認められます。骨症状としては、骨髄にゴーシェ細胞が蓄積し、骨髄内の機械的閉塞や、血管攣縮、血栓症、血流障害等による激しい痛み、局所的虚血性壊死や、骨幹細胞部での骨造成プロセスの障害による変形がみられ、病的骨折や、骨髄炎等の合併症がみられることがあります。神経症状としては、精神運動発達遅延、けいれん、頸部後屈、開口困難、斜視、呼吸不全などがみられます。わが国では約100名の患者様が確認されています。
 臨床所見により1型(慢性非神経型, 成人型)、2型(急性神経型, 乳児型)、3型(亜急性神経型, 若年型)に分類され、このうち1型においては酵素補充療法が標準的治療法として確立されています。しかし、2型、3型に関しては、大量の酵素を補充することにより一部に有効性が報告されているものの、神経症状を含め今後解決すべき問題点も多く、基礎研究および臨床研究には、さらなる発展が期待されています。

【2】症状

a)肝・脾腫

 糖脂質(グルコセレブロシド)が蓄積することにより、臓器の腫大が認められます。

b)貧血、血小板減少症

 骨髄のゴーシェ細胞が増加することによる造血能の低下や、脾腫による赤血球、血小板の破壊の亢進がみられます。

c)骨症状

 骨髄にゴーシェ細胞が蓄積し、骨髄内の機械的閉塞、血管攣縮・血栓症、血流障害等による激しい痛み、局所的虚血性壊死や、骨幹細胞部での骨造成プロセス障害による変形がみられます。骨皮質が圧迫され薄くなり、病的な骨折や、骨髄炎等の合併症を引き起こします。

d)神経症状

 精神運動発達遅延、けいれん、頸部後屈、開口困難、斜視などがみられます。

【3】臨床分類

 
1型(成人型)
2型(乳児型)
3型(若年型)
特徴
発症年齢が幼児から成人にわたり、慢性に経過します。神経症状を伴わず、肝脾腫、骨症状が主症状です。 乳児期(生後3〜5ヶ月頃)に発症し、著明な神経症状(精神運動発達遅延、けいれん、頸部後屈、開口困難、斜視)を伴います。胎児水腫が主症状です。 乳幼児期に徐々に発症し、神経症状を伴いますが、2型に比べて緩徐な経過をたどります。3型はさらに3つの亜型に分類されます。しばしば肝脾腫が初発症状となります。
発生頻度
1/480,000 1/800,000
国内患者数
(推定)
約50名 約10〜20名 約20〜30名

【4】酵素補充療法

 ゴーシェ病は、β-グルコセレブロシダーゼという酵素がリソソーム内でつくられないために、糖脂質(グルコセレブロシド)を分解することができず、そのためグルコセレブロシドが体内に蓄積してしまう遺伝性の代謝異常疾患です。
 酵素補充療法は、この欠損している酵素を製剤化して体外から点滴で補充し、蓄積している糖脂質(グルコセレブロシド)を分解する治療法です。本邦では1998年3月にイミグルセラーゼ(遺伝子組換え)がゴーシェ病の治療薬として認可を受けており、セレザイム®として販売されています。
 現在(2007年7月)、本邦では約90名の方が酵素補充療法を受けています。

a) 用法・用量

 投与量は、2週間に1回、イミグルセラーゼ(遺伝子組換え)として体重1kg当たり60単位を1単位/ kg/分を超えない注入速度で投与します。1回の投与には、1時間から2時間ほどかかります。
 また、一定期間投与した後に治療効果を判定し、良好な改善状態が持続してみられた場合には、維持用量として初期量より減量する場合があります。

b) セレザイム®(イミグルセラーゼ)の副作用
 日本における臨床試験及び市販後の安全性定期報告により報告された症例54例中、14例(25.9%)に副作用が認められました。その主なものは、嘔気、嘔吐、蕁麻疹、発疹、白血球増加各2例(3.7%)でした。
 海外の症例2365例中、約9.8%に副作用が認められています。過敏症を示唆する副作用は約4.4%、その他の副作用は約5.4%で認められました。報告された主な副作用は以下の通りです。

1)重大な副作用

 アナフィラキシー様反応:アナフィラキシー様反応(そう痒感、潮紅、蕁麻疹、血管浮腫、胸部不快感、呼吸困難、喘鳴、血圧低下、チアノーゼ等の過敏反応)があらわれることがあります。

2)その他の主な副作用

 @過敏症 蕁麻疹、発疹、そう痒感、潮紅
 A消化器 嘔気、嘔吐、腹痛、下痢
 B循環器 頻脈
 C皮膚  紅斑、湿疹、爪変形、一過性の末梢牲浮腫
 D全身症状 頭痛、倦怠感、発熱、疲労、悪寒、背部痛、めまい
 E血液系 白血球増加、赤血球減少、ヘモグロビン減少
 F注射部位 不快感、掻痒感、灼熱感、腫脹及び無菌性膿瘍
 G肝臓 AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇

【5】骨髄移植療法

 酵素活性の異常を伴った血液細胞を正常な血液細胞に置き換える治療法です。骨髄移植が成功すれば、肝脾腫、血小板減少、骨痛等の骨症状の改善がみられますが、神経症状に対する明らかな結論は得られていません。また、ドナーの選択が困難であることや合併症の程度を考えた場合、1型(成人型)においては酵素補充療法が標準的な治療法と考えられます。

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ファブリー病

【1】病態

 ファブリー病 (Fabry disease)は、細胞内リソソーム(ライソゾーム)の加水分解酵素であるα-ガラクトシダーゼ(α-GAL)活性が正常値より不足あるいは欠損しているため、この酵素で本来分解されるべき基質のグロボトリアオシルセラミド(GL-3)などの糖脂質が主に血管内壁に蓄積する先天性代謝異常疾患です。
 そのため、さまざまな臨床症状がみられます。
 心臓や腎臓などの組織や複数の臓器の機能が進行的に障害され、また、発汗障害や四肢末端痛、被角血管腫、角膜混濁などがみとめられます。
 例えば、発汗機能が障害され、体温調節ができないため、暑さや寒さに対する適応が困難となります。
 また、腎機能の悪化にともない血液透析を導入する場合や、心筋障害、冠血管障害のため重篤な不整脈が出現し、ペースメーカーの植込みが必要となる場合があります。臨床所見や臓器障害、性別により古典型、亜型(心ファブリー, 腎ファブリー)、ヘテロ型に分類されています。

【2】症状


 グロボトリアオシルセラミド(GL-3)は血管内皮細胞をはじめ、全身の細胞に蓄積し、時間の経過とともに悪化します。
 下記に示す症状にも個人差があり、症状は疾患の進行によって変化してゆきます。

a)消化管症状

 胃腸障害:食後の腹痛や下痢、嘔気、嘔吐など。

b)神経症状

 四肢疼痛:手先、足先に発作的な疼痛が生じ、数分から数時間持続します。また、持続的な感覚異常(鈍くなる・しびれる・チクチクする)も起こることがあります。
 聴覚低下:内耳神経にグロボトリアオシルセラミド(GL-3)が蓄積することにより、聞こえにくく、耳鳴りが生じることがあります。

c)皮膚症状

 被角血管腫:赤紫色の発疹が、胸部、腹部、臀部、陰部、大腿などに出現します。痛みやかゆみはないと言われています。
 低・無汗症:発汗機能が障害され、汗をかきにくくなり、体温調節ができなくなります。

d)眼症状

 角膜混濁:角膜に渦巻き状の混濁が確認されます。一般的には視力には影響がないと言われています。
 他には、結膜および網膜の血管病変、ならびに水晶体の混濁などが認められます。

e)腎機能障害

 尿中のタンパク量が増加し、その後、腎不全にまで至る場合があり、重篤な臓器障害の一つです。

f) 心機能障害

 心肥大や心筋梗塞、弁膜異常などを呈し、腎不全と同様に重篤な臓器障害の一つです。

g) 脳血管障害

 脳梗塞や脳出血を起こし、記憶障害や運動麻痺を来たす場合があります。

h)精神障害

 うつ症状をきたすこともあります。

【3】臨床分類

  特     徴
古典型 典型的なファブリー病を指し、上記の症状がほとんど全て出現します。α-ガラクトシダーゼの酵素活性はほとんどありません。
亜 型 発症年齢が遅く、症状が一部に限られる場合です。心ファブリー病は主に心臓のみに症状が現れ、腎ファブリー病は主に腎臓に症状が現れます。古典型に比べわずかに酵素活性をもつと言われています。
ヘテロ接合体
(女性患者)
男性患者と同様の重篤な症状を示す人から、ほとんど症状を示さない人まで様々です。しかし、年齢が進むと多くの人に何らかの臓器障害がでると言われています。


【4】酵素補充療法

 ファブリー病は、α-ガラクトシダーゼという酵素が細胞内リソソーム(ライソゾーム)で作られないために、糖脂質(グロボトリアオシルセラミド)を分解することができず、そのためグロボトリアオシルセラミドが体内に蓄積してしまう疾患です。
 酵素補充療法は、この欠損している酵素を製剤化して体外から点滴で補充し、蓄積している糖脂質を分解/代謝する治療法です。
 米国では、1998年に遺伝子組換えヒトα-ガラクトシダーゼによる臨床試験が開始され、2003年に承認、販売されています。
 本邦では、1999年に希少疾病用医薬品の指定を受け、2000年に臨床試験が開始され、2004年1月に厚生労働省により承認され、同年4月に販売されました。現在(2007年7月)、本邦では約300名の方が酵素補充療法を受けています。

a) 用法・用量

 投与量は、2週間に1回、アガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)として体重1kgあたり1mgを、1分間に0.5mgを超えない注入速度で投与します。1回の投与には、2時間から3時間ほどかかります。

b) ファブラザイム®(アガルシダーゼ ベータ)の副作用

 国内で行われた第2相試験では、13例中8例に副作用(臨床検査値異常変動を含む)が認められました。主な副作用は投与関連反応(Infusion-associated reaction; IAR, 点滴投与に伴う生体に有害なアレルギー反応)と考えられる悪寒5例(38%)、発熱4例(31%)、倦怠感、呼吸困難、鼻炎、高血圧各2例(15%)でした。
 海外における報告でも同様に、悪寒、鼻炎、温度感覚変化(冷感)、発熱等の副作用が認められました。

1)重大な副作用

 発熱反応、心血管系症状、過敏症、消化管症状、四肢の疼痛を投与中に起こすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には点滴速度を下げ、抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤、副腎皮質ホルモン剤等の投与を考慮します。

2)その他の主な副作用

 @全身 倦怠感、胸痛、疼痛
 A消化器 嘔気、嘔吐、腹痛、下痢
 B眼 流涙異常
 C神経 振戦、めまい
 D血液系 好酸球増加症
 E注射部位 不快感、掻痒感、腫脹及び無菌性膿瘍

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糖原病U型/ポンペ病

【1】病態

 糖原病U型/ポンペ病(Pompe病)は、細胞内リソソーム(ライソゾーム)の加水分解酵素である酸性α-グルコシダーゼ(GAA)活性が正常値より不足あるいは欠損しているため、この酵素で分解されるグリコーゲンが筋細胞内に蓄積する先天性代謝異常疾患です。
 そのため、肺を支える筋肉である横隔膜や胸郭の周りの筋力が障害されることにより、呼吸困難が認められます。また、進行性の筋力低下にともなう歩行障害もみられます。
 糖原病U型/ポンペ病は、発症年齢によって主に2つの病型、すなわち乳児発症型および遅発型に分類されています。(他に、小児型、小児型、成人型の3つに分類する場合があります。)
 糖原病U型/ポンペ病を有する出生児の約3分の1は、乳児発症型であると推定されています。一方、残りは遅発型であり、その中には生涯の後半まで徴候および症状が現れない場合もあります。

【2】症状


a) 乳児発症型

 2つの型のうち、乳児期の発症は重症であり、その予後は不良であるとされています。糖原病U型/ポンペ病の影響は生後2、3ヵ月以内に現れ、通常は著しい心肥大などの徴候および症状が劇的に進行します。乳児期に糖原病U型/ポンペ病を発症した場合、筋緊張の低下を伴い、「フロッピーベビー」と呼ばれ歩行ができないことが多く、ほとんどの場合、人工呼吸器が必要となります。また、健常な体重増加および体重維持が難しく、「成長不良」と診断される場合もあります。生命機能を支える筋肉が急速に障害を受けると、生後1年以内に心呼吸不全により亡くなることがあります。

b) 遅発型

 遅発型は、小児期から成人後期まで、いずれの時期にも発症します。症状は乳児期に比べ、緩慢に進行する傾向があり、また、個々の患者様によって症状が多岐にわたります。比較的、症状が軽い患者様がいる一方、最終的に車椅子および呼吸器(呼吸)補助が必要となる方もみえます。一般的に、遅発型の発症年齢が若いほど、症状および進行はより重症となり、進行性の呼吸不全を呈します。

【3】臨床分類

  乳児発症型 遅発型
特徴 生後2-3ヶ月以内に徴候や症状が現れ、劇的に進行します。
健常な体重増加・維持が難しく、「成長不良」と診断されることもあります。
成長におけるいずれの時期にも発症し、より緩慢に進行する傾向があります。
一般的に発症年齢が若いほど、症状および進行は重症となります。
症状

 心臓、体を動かす筋肉、肝臓などにグリコーゲンが蓄積して、右記のような症状が現れます。
重度な筋力低下
心肥大
呼吸困難
成長不全
肝肥大
舌肥大
特に体幹および下肢における、進行性の筋力低下
労作時疲労
息切れ(呼吸困難)
睡眠時無呼吸または、断続的な睡眠
朝の頭痛
日中の眠気
脊柱側彎症
下背部痛


【4】酵素補充療法

 糖原病U型/ポンペ病は、酸性α-グルコシダーゼ(GAA)という酵素が細胞内リソソーム(ライソゾーム)で作られないために、この酵素で分解されるグリコーゲンが筋細胞内に蓄積する先天性代謝異常疾患です。
 酵素補充療法は、この欠損している酵素を製剤化して体外から点滴で補充し、蓄積しているグリコーゲンを分解する治療法です。
 米国では、2003年にチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞由来の遺伝子組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ(rhGAA)による臨床試験が開始され、2006年4月に承認されています。
 本邦では、2006年2月に希少疾病用医薬品の指定を受け、2007年4月に厚生労働省によりアルグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え)として承認され、同年6月にマイオザイム®として販売されました。

a) 用法・用量

 投与量は、2週間に1回、アルグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え)として体重1kgあたり20mgを点滴静脈内投与します。1回の投与には、3時間から4時間ほどかかります。

b) マイオザイム®(アルグルコシダーゼ アルファ)の副作用

 外国における主要な臨床試験において本剤(20mg/kgまたは40mg/kg)が投与された糖原病U型/ポンペ病患者39例中、副作用が報告されたのは24例(61.5%)で、主に投与関連反応(Infusion-associated reaction; IAR, 点滴投与に伴う生体に有害なアレルギー反応)でした。主な副作用は、発熱(25.6%)、酸素飽和度低下(17.9%)、蕁麻疹(15.4%)、潮紅(12.8%)、発疹(12.8%)、咳嗽(12.8%)、頻呼吸(12.8%)等でした。(承認申請時)

1)重大な副作用

 投与関連反応:本剤を投与中または投与後2時間以内に、蕁麻疹、発疹、潮紅、発熱、頻脈、咳嗽、酸素飽和度低下、頻呼吸等の投与関連反応が発現することがあります。これらの症状が発現した場合には、投与速度の減速または投与の一時中止、適切な薬剤治療(副腎皮質ホルモン剤、抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤または抗炎症剤等)、もしくは緊急処置を行います。

2)その他の主な副作用

 @皮膚 蕁麻疹、発疹
 A血管 潮紅
 B臨床検査 酸素飽和度低下
 C全身 発熱
 D呼吸器 咳嗽、頻呼吸
 E消化器 嘔吐、悪心
 F循環器 頻脈
 G精神系 激越、易刺激性
 H神経系 振戦

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遺伝形式
【1】常染色体優性遺伝

 常染色体優性遺伝は、男性、女性ともに現れます。片方の親が、もう片方の親の遺伝子の特性を押さえつけるような遺伝子をもつ場合、その遺伝子を優性遺伝子といい、その遺伝形式を優性遺伝といいます。
 図1は男性の患者さんと女性の正常なひととの間に出る優性遺伝形式ですが、男性と女性で発症者を逆にしても同じことになります。一組の遺伝子の中に正常な遺伝子nをおさえつける問題のある優性遺伝子Dを両親のどちらかが持つ場合、その遺伝子Dが50%の確率で子に現れます。常染色体遺伝なので、子が男子でも女子でも50%の確率で遺伝します。また、子の兄や姉がすでに優性遺伝を受け継いでいても、その子が優性遺伝を受け継ぐ確率が50%であることに変わりはありません。
 

図1 常染色体優性遺伝
【2】常染色体劣性遺伝

 常染色体劣性遺伝は、男性、女性ともに現れます。父親と母親が同じ特性の遺伝子を持つとき初めて子に現れる遺伝子を劣性遺伝子といい、その遺伝形式を劣性遺伝といいます。
 図2は、両親ともに問題のある劣性遺伝子rをもつ例です。
 両親はふたりとも正常な遺伝子Nをrとペアでもっているため、劣性遺伝子rの特性が出ない、つまり保因者にはなりますが、発症していない状態です。子どもが両親の劣性遺伝子rの両方をともに引き継いだとき、初めて発症し、その確率は25%です。子の兄や姉がすでに劣性遺伝を受け継いでいても、その子が劣性遺伝を受け継ぐ確率が25%であることには変わりはありません。片方の親が同じ劣性遺伝子rを持たなかった場合は、保因者の子は生まれるかもしれませんが、発症者の子は生まれないと考えられます。
 

図2 常染色体劣性遺伝
【3】伴性劣性遺伝

 X染色体関連遺伝とも呼ばれ、基本的に男性だけに現れますが、その遺伝はX染色体が担っています。
 図3は正常なXY染色体を持つ男性、そして正常なX染色体と病気を引き起こす遺伝子を持つX'染色体を持つ女性の例です。
 病気を引き起こすX'染色体の遺伝子は、正常なX染色体の遺伝子に補われるため、基本的には女性は発症しないと考えられます。しかし男性の場合はX'染色体を補う遺伝子がY染色体に存在しないため、発症すると考えられます。
 母親がX'遺伝子を持つ(保因する)場合、その男子に発症する場合があります。確率的にいうと、男子か女子の生まれる確率が50%、発症する男子あるいは保因者の女子が生まれる確率がそのまた50%、つまり全体でいうと25%(1/4)になります。
 父親が患者(X'Y)で、母親が保因者(XX')である場合、女子患者が生まれる確率が25%、保因者の女子が生まれる確率が25%、男子患者が生まれる確率が25%、正常な男子が生まれる確率が25%ということになります。女性患者は、無症状から重篤化を伴う症例までさまざまです。

 

図3 伴性劣性遺伝
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